2000 01 11  Mr.30km/h

さて、毎朝の通勤路でとても気になる人物がいるのだ。
彼は、いわゆる「原チャリ」に乗っている。そして、毎日決まった時間に決まったルートで通(かよ)っている。ちょうど、私とは反対方向に走る彼は、大体いつも同じ場所ですれ違う。
彼は見るからに律義な性格をそのまま形にしたような人物である。そして、その原チャリの運転もまさに遵法そのものである。
背筋を伸ばし、きちんとヘルメットを被り、きちんと時速30km/hを守っている。しかも、路肩の白線か、それより左側を通行する位のキープレフトである。いつも、如何なる時もそうである。

で、その結果、彼の後ろについた、二桁国道を走る大型四輪車は、安全な車幅をとって追い抜きする為に、対向車の切れるタイミングを測る為に減速し、結果ちょっとした渋滞が起こっている。でも、彼は自分の後ろの車の列がどうなっているのかなど知る由もない。反対方向に走っている私だから知り得る事である。
時には、大型四輪に、押し潰されそうな幅で追い越され、思わず停車してしまった彼を見た事も有る。

原付の時速30km/hという法定速度は、無論それを守らなければ罰則、違反金を伴う立派な法令違反である。それを律義に遵守する事自体が二輪ライダーと、四輪ドライバーの双方にとって一切のメリットが無いばかりか、周辺交通環境にさらされる一般市民まで、その危険性を増加させてしまうのだ。
ただ、その事実が認知されたとしても、それを持って原付の門戸を厳しくして免許をとらせないという方向にではなく、規制緩和の方向に進んで欲しいものである。
いまや、「原動機付き自転車」というカテゴリに族する50cc未満の二輪車の性能は、ひと昔前の125ccの自動二輪に匹敵するのだ。道路交通法だけが、進化せずに取り残こされているのだ。

いま一度、交通環境の実態と、潜在的な危険な規制を、勇気を持って再検討する時期に差しかかっているのではないだろうか。
成熟したモータリゼーションが日本でも実現出来るはずだと私は思うのだが......
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